星の王子さま
絵本にしては哲学的で、わかりやすい絵本とは言えない本だ。
ただ、その内容がわかりやすいとかわかりにくいということは全く関係なくこどもに読み聞かせたい。
そう思わせるような一冊であると同時にこれは現代の社会人にこそ、今一番読むべき本だと感じたので
解説ではなくあくまで感想という形で書いてみたい。
結論
「大切なものは目にはみえないもの」本書でも何度かでてくるこのフレーズ。
社会人になった人が、生活の中でこのフレーズに直面するシーンはなかなか少ない。
会社でこんなことを言われたらこっ恥ずかしいし、ビジネス書や自己啓発書なんかでこんなフレーズを言われたら
宗教かな?なんて感じてしまうようなフレーズだ。
そう。
このフレーズは絵本だからこそきれいな言葉として向き合うことができる。
そんな言葉が素直に自分の中に入ってくる。そんなすてきな本だった。
ないものがない
この考えは下記の記事で乾いている世代 乾けない世代のモチベーション革命という記事で「ないものがない」現代で何をモチベーションにするのか?ということについて書いているので参考にしてほしい。
素晴らしくて快適なモノやサービスがあふれる現代。
もちろんそれ自体はQOLの向上という観点からも
現代のモノやサービスによる快適な生活、より豊かな生活を送ることができているのは事実だ。
それと同時にあふれすぎたモノやサービスに、消費者としての多くのヒトはその選択に合理性を求めるようになった。
その結果、合理性を求めることを重要視し、
効率性を最優先にする「最適化」という現代の『最重要』キーワードをモットーに働く現代になった。
そしてその結果、本当に大切なものがなにかわからなくなってしまっている。
という比喩表現を本書では痛烈に伝えてくる。
本書ではその本当に大切なものについて、明確に断定的な記載がない。
それは読みての受けとり方によって、解釈が変わるように書かれている。
それが意図的なのか、意図的でないのかはわからないが、
それが重要でないと感じさせるからこそこの絵本がこども向けというには難しいと感じる点であり
哲学的であると感じるのだ。
私なりに本書を読む中で感じたその「本当に大切なもの」について考えたときにそれは
ココロ(愛、気持ち、感情)
というワードが私の中でしっくりとした。
そして、ココロのこもったモノ・サービス・行為は自分にとって特別なものになる
その特別なものにすることが現代を生きる上で大切な行為なのだと感じる。
大切なものってなんだろう
先程、自分なりに目には見えない大切なものそれはココロというものではないか?と書いてみたが
とっても抽象的な表現なので、自分なりにひとつ掘り下げてみよう。
大切だと感じるものはなにか?と自問してみたところ
- 自分が大切な人と過ごす時間
- 大切な人を大切にするという行為
このような答えが自分から返ってきた。
つまり、簡素にすると時間と行動になる。
どんな行動に時間を使うか。
「大切な人」と「一緒にすごす」ことに時間を使うこと。わたしの場合これが本質になる。
この時間の中に、あるときは相手を喜ばせて、あるときは自分が喜ぶ。
この本質の中に自分という主体性を証明するには、自分がそうしたいという欲求があること。
その表現が結果として相手に伝わることが重要だと感じた。
回りくどいが結局は自分がやりたいこととか役に立つことをが回り回って誰かのためになるということこの順番が重要。
誰か→自分なら、自分以外でもできる人がいる。
ニーズに答えることが最重要ならば、機械が答えてくれる未来はくる。
それがシンギュラリティと呼ばれているものだ。
ここでいう順番は大切だが、自己中心的に生きることをよしということではない。
自主性を持ってココロを動かすことが結果、
相手によい影響を与えることや価値を提供することになるということが重要だと感じたのだ。
だからこそ今この本と向き合ってみて感じるのは、
最適化、効率化、といったものや、ニーズ、需要というものを重視するのはもちろん大切だが
その中に自分という価値をまず認識して、ココロを動かすことを大切にしたいと感じた。
やりたいこと、やるべきことは違う
自主性を持って行動する前に一つ間違えやすい考えが存在する
それはやりたいこと、やるべきことは違うということ。
言い換えると、なりたい自分となるべき自分が混同している人が多いということ。
- なりたい自分は自分本位。 そしてそれは自分の人生を生きることになる。
- なるべき自分は他人本位。 そしてそれは他人の人生を生きることになる。
やるべきことというのは強制力を持つもの。
この価値観の場合、できなかったときにできていないことに否定的な評価を自分ですることになる。
こうしたほうがいいのにできていない自分。というできなかった自分を否定してしまう。
一方でやりたいことという考えはできなくてもこうしたい、という希望的考えなので否定はない。
できなかった場合にはそれを受け止めてどうすればできるだろうか?という考えになるので否定が発生しない。
おわりに
最適化をモットーに効率化、合理性を追い求める現代ではまずはじめに結論や答えを求めている。
実際、それは正しいと思うし、実に合理的である。
だからこそ、今、本書を読むべきだと感じた。
今回は私なりに、目に見えない大切なモノについて考えてみたが正解は人それぞれ。
合理的に簡単に答えを求めるのではない。
自分で考える機会を与えてくれるこの本と一緒に目には見えない大切なものを探していきたい。
きっとその根源はシンプルなものだ。
なぜなら、時代の変化とともに取り巻く環境は劇的に変わってきたが、
その変化を起こしてきた中心の人間自体は機械のように能力が変化したわけでも、ココロがなくなったわけでもない。
今も昔も未来も、私たちは変わらず人間なのだから。
では、また。
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